• XBJ Staff

ゾンビ・ボーイとマナ人格

今日は、お盆直前にザビエから届いていた記事原文と対訳文をお届けします。お盆休みをいただいき、お休みが終わると同時に先に公開した記事「昨今の厳しいトランジットへの対処法」の翻訳を優先したため、この記事自体の公開が少し遅くなってしまいました。


本記事に入る前に、少しだけ、訳者補足を書かせていただきます。


今回届いたのは、'Zombie Boy And The Mana-Personality' というタイトルの記事です。そのまま「ゾンビ・ボーイとマナ人格」という邦題にしました。


ゾンビ・ボーイとは、カナダ出身のモデルであり俳優のリック・ジェネスト氏のことです。33歳の誕生日を迎える直前だった今月8月1日、リックの突然の死が報道されました。当初は、自殺説も流れましたが、最終的には彼の関係者によって、死因は不慮の事故であったことが、正式にアナウンスされました。


ザビエは、彼の死に関する報道をたまたま目にし、それまで全く知り得なかったこの人物に対して興味を抱きます。本記事内容は、はそのようなきっかけで、発展していきます。



画像出典元:facebook 'Zombie Boy'



出演したことでリック・ジェネストを一躍有名にした、Lady Gagaの 'Born This Way' (2:04あたりでわかりやすく彼の姿を見れます)。

タイトルにある「マナ人格」とは、ユングの提唱した元型論に関するタームです。詳しくは、本記事の中でザビエ本人によって説明されています。今回もなかなかの長編大作なので、前・後編に分けようかと思いましたが、今回もまた、前回の記事同様に、行間から「ザビエ熱」を強く感じたので、一気に掲載・公開させていただくことにします。


それでは、ザビエの考察による「生と死」そして今は亡きリック・ジェネストの出生図から垣間見る、若きアーティストが、その人生をかけて表現し尽くした世界をお楽しみください。


R.I.P. to such a young talented artist, Rick Genest. 翻訳・文責:持田 直子(ザビエ・ベトコート・ジャパン)


これまで、あえて言うなら、ゾンビ・ボーイとして知られるリック・ジェネストの写真を意識的に見たことはありませんでした。その理由は、刺青のイメージに対するわたしの関心はほとんどなく、普段ならそのようなものはわたしにとって避けるべき対象であり、ゾンビは気持ち悪いものでしかなかったからです。しかし、先週(本記事執筆日2018年8月6日)この彼が他界したことで、BBCニュースは彼について大々的に報道し、頭のてっぺんからつま先まで自分自身の骨と内臓を描いた刺青で覆い尽くした、この一見奇妙な若者に、わたしは興味をそそられたのです。彼のインタビュー映像を見たとき、極めて知的で穏やかな人物だということを発見し、わたしは非常に驚きました。


そんな彼についてもっと知ろうと思い、彼の出生図を出してみることにしました。リック・ジェネスト氏、1985年8月7日カナダ・モントリオール生まれ。彼の出生時間が不明なのが残念ですが、今後彼の出生時間が世に出ることも恐らく無いので、一先ず出生時間を正午として、同じ時代を生きたシンボルとしての彼のイメージ・人格そして彼の死について、山羊座冥王星と土星・魚座海王星・牡牛座天王星・蠍座木星といった、今まさにわたしたちが通過しているこの重要な全てのトランジットが描いていることを見ていきましょう。


彼へのインタビューは、本物のゾンビであるかのようなゾッとするようなペルソナ(人格像)や時には歌い踊る死体たちとして描かれる実際のゾンビのイメージ、もしくは自己認識を伴った非常にスタイリッシュなモデルとしてのスタイルと、地に足の着いた彼の性格との間にあるコントラストを露わにし、また、そのコントラストは魅力的でもあります。


彼が自らの肌を覆うために創り出した恐ろしいイメージは、ある日突然閃いて決まったことではなく、彼にとって長いプロセスを経て出来上がった、ということが、何よりもわたしの胸を打ったのです。彼は、5歳の頃から刺青に魅了され、そして後にそれ(刺青)は彼にとって、天職の一部となるのです。ここで、獅子座の彼だからこそ、人々を魅了するための彼独自のゲームが好きだった、とも言えるのでしょうが、しかし、彼は10代の頃、脳腫瘍との診断を受け、死ぬかまたは醜い姿のまま生き続けるのか、という選択肢を突きつけられ、そのことがきっかけで、彼がこれまで彼自身を表現し続けてきたような、病的且つ死を想起させるイメージに心を奪われていったのでした。


画像出典元:Cultural Colectiva

彼の出生図を見ると、蠍座の土星が、重なっている獅子座の太陽と水星に対して90度(スクエア)を取っていますが、このことから、彼の遊び心と生きる歓びは、痛みや醜さといった恐ろしいイメージを伴った「死」の恐怖に襲われたのだと言えましょう。しかし、彼は生き延び、その痛みを伴った経験を創造性の源(ソース)として変容させたのです。彼の肌には、死のイメージが写し出され、そこには骨も露わになり、そして最も重要なこととして、彼の頭蓋骨上には脳が描かれているのです。彼の肉体に刻まれた一つ一つの刺青は、彼が経験した痛みの深さを表しているのと同時に、クリエイティヴな啓示であった、とも言えるのではないでしょうか。


蠍座(脳が司る遺伝子のプロセス)の土星(骸骨)が、徐々にリックという人を具体化したのでしょう。土星が冥王星のサインに位置することが、山羊座冥王星のテーマがわずかに変化したこととして考えると、ゾンビ・ボーイは、このミステリアスでユニークなトランジット(冥王星は250年後に山羊座へと戻ってきます)のイメージそのものではないでしょうか。レディ・ガガが、彼に心を奪われたのも無理はありません。


彼のような火のサインである獅子座にとって、蠍座土星というのは、大きな不安とストレスそしてパワーとの格闘といった、厳しい位置であると考えられますが、リックは、そのことをチャレンジとして受け止め、「死と恐れ」を歌い踊ることに、それだけでなく、自身を若い世代のセックスシンボルへと変換していったのです。山羊座は、エレガントさと威厳を同時に持ち得るサインです。彼のモデルとしてのスタイルとデザインに感銘を受けました。


彼の牡牛座の月が、現行の冥王星と180度反対に位置することと、彼が出生に持つ蠍座冥王星*訂正しました。(訂正前・誤→山羊座冥王星)(AIDS世代)、それに加え蠍座土星を総合して考えると、ゾンビ・ボーイは、真のプルトニアン(冥王星人)であったと言えるでしょう。そして、プルトニアン(チャートに冥王星が強く表現されている人を指す)は、意識的であれ無意識的であれ、自然の法則や内臓について、痛みを伴う変容、腐敗、セックス、生と死といった事柄を自分の肉体を実験室として使い、体験する傾向にあります。


そこでわたしは、自分自身に対しこのように問うのです。「もし、リック・ジェネストが、彼にとって独自且つ最も創造的に彼の痛みと恐怖を表現する方法を得ていたならば、また、彼の地に足のついた人間性や、ガールフレンドとの素敵な関係性、そして、友人たちにも愛されていた、であれば、なぜ、彼は若くして、そして、臆せず言うのであれば、馬鹿げた方法で、死を選ばなくてはならなかったのか?」と。彼は、タバコを吸うためにバルコニーに出て、そのまま3階という高さから転落したのです。


もちろん、数多くの理由がそこにはあったことでしょう。その一つは、彼の人生そのものが、「死」に近づき過ぎてしまったということ、そしてほぼ確実に、彼自身の「死」への願望がとても強かったのでしょう。もちろん、無意識に(自覚なしに)です。しかし、シンボルというわたしにとって何よりも大切な観点から最も言及したいことは、生と死・パワーと変容を意味する山羊座冥王星という、わたしたちが生きている時間の中で最も重要且つ深遠なトランジット(天体の移行)を、彼は単に表現し過ぎた・具現化し過ぎた、ということなのです。


画像出典元:thefader.com

ユングは、人がとあるアーキタイプ(元型)ーーー例えば、母、父、ヒーラー、戦士などーーーに同一化し過ぎてしまい、その人物が所属するコミュニティにおいて、そのアーキタイプの代表のように認知されてしまう時に起こる非常に興味深い事象を「マナ人格」と名付けました。しかし、アーキタイプに同一化し過ぎてしまうことは、人にとって非常に危険なことなのです。アーキタイプのパワーは、集合無意識からやってくるのであり、その驚異的なパワーの電流は、従来わたしたちの人生の変容や人類の進化を助けるために存在するのです。つまり、たった一人の人間が受け止めるには、そのパワーは巨大過ぎるのです。起きることは、まず最初にアーキタイプのカリスマ、例えば山羊座の冥王星に、力を与えられるのですが、そのうちに、その個人は、アーキタイプの中に、自分自身を溶かし、失くしてしまい、最後にはアーキタイプによって自身を崩壊させてしまう、といった傾向にあるのです。


太陽と水星が獅子座にあるゾンビ・ボーイは、ある種の純粋な永遠の子供で、辛い病に襲われた子供時代(出生に持つ蠍座・月が共に冥王星)を過ごしたにもかかわらず、自身のゴールデンチャイルドを表現することに辿り着いたのだと言えましょう。そこに辿り着くまでに、彼がどれだけの厳しい経験を重ねてきたのかをわたしたちは知る由もないのです。わたしは、彼がインタビューの中で口にした次の2つのフレーズを生涯胸に置いておこうと思います。


創造性が、あなたを人間にする。 Creativity makes you a human being.
創造性が、あなたを生かし続ける。 Creativity keeps you alive.

この言葉は、彼のハートから発せられたものでした。


ゾンビ・ボーイは、彼の出生に持つ牡牛座の月に現行の天王星が重なり、出生に持つ蠍座冥王星が180度反対に位置しているときに、亡くなりました。このトランジットは彼にとって圧倒的過ぎたが故に、彼は再び彼自身を変容・再編成させる必要性があったのではないか、と想像するのですが、しかし、一体どうしたら彼は肌に刻まれた刺青を消すことができたのでしょうか?一体何をどうしたら、新しい皮膚を持ち、遺伝子のコードをリセットして生まれ変わることができたのでしょうか?彼の獅子座の太陽に対して90度を取る現行の蠍座木星こそが、彼にとって、彼を助けそして自由にした闇の天使(ダークエンジェル)なのではないか、とわたしは思うのです。



2018年8月6日 ザビエ・ベトコート 対訳 持田 直子(ザビエ・ベトコート・ジャパン)


原文


ZOMBIE BOY AND THE MANA-PERSONALITY


I had not seen any photos about Rick Genest, known as Zombie Boy, consciously, at least, because I am not very attracted to tattoo images and I normally try to avoid them; most of all, I find zombies disgusting. But when he died last week, I was intrigued because the BBC news made a huge coverage about him; suddenly, my eyes sort of focused this peculiar young man covered from head to toe with tattoos of his own bones and inner organs. Most surprising, when I saw one of his interviews, I discovered that he was quite an intelligent and gentle fellow.


I decided to learn more about him and then I cast his natal chart. Mr Rick Genest, he was born on August 7, 1985 in Montreal, Canada: it is a pity we do not know his time birth yet, and maybe we will never do, but the chart, cast at noon, reveals him as symbol of our times; his image, personality and death, illustrate all the important transits we all are going through, Pluto and Saturn in Capricorn, Neptune in Pisces, Uranus in Taurus and Jupiter in Scorpio.


The contrast between his scary persona, a real zombie, sort of corpse singing and dancing, or modeling in a very stylish way, with the self-awareness and down to earth personality he revealed in his interviews is fascinating.


What stroke me the most is that his image was the result of a long process; it is not that he decided suddenly to cover his skin with those terrifying images. Since he was 5 years old he was attracted to tattoos; it became a real vocation. Here we can say that as a Leo he liked original games to attract people, but when he was a teenager, he was diagnosed with a brain tumor; he was then supposed either to die or remain horribly disfigured; this made him become obsessed with the morbid and the macabre, as he declared himself.


In his natal chart, Saturn is in Scorpio squaring his conjunction of Sun Mercury in Leo; we could say that the playfulness, joy of living of Rick was suddenly threatened by death in a horrendous manner: pain and deformation. But he survived and transformed this painful experience into a source of creativity; images of death were printed on his skin, the bones appeared on it too, and most important, his brain was sort of printed on the scalp of his crane. We can say that every tattoo he had on his flesh represented a deep an painful experience, but also a creative revelation.


Saturn (skeleton) in Scorpio (the genetic process controlled by the brain) gradually embodied Rick. As Saturn in the sign of Pluto is a sort of variation from the theme of Pluto in Capricorn, Zombie Boy became an image of this mysterious and unique transit (Pluto will come back to Capricorn after 250 years). No wonder Lady Gaga was enthralled by him.


Saturn in Scorpio is a tough position for a fiery sign such as Leo, lots of fear, stress and struggles of power, but Rick took the challenge and made Death and Fear sing, dance, and even become a sort of sex symbol for the young generations. Capricorn can be an elegant and distinguished sign; I was impressed by the style of his modeling and designs.


With Pluto in opposition to his Moon in Taurus, his natal Pluto in Scorpio (the AIDS generation), plus Saturn in Scorpio, we can say that Zombie Boy was a real Plutonian; and consciously or unconsciously, Plutonians (charts with a strong Pluto emphasis) tend to use their own body as a laboratory to explore laws of nature, inner organs, transformation through pain, decay, sex, life and death.


The question I ask myself is this: if Rick Genest had found a unique and creative way to express his pain and horror, and, most of all, his was a down to earth individual, had a nice relationship with his girlfriend, and was loved by his friends, WHY, then, he had to die so young in almost a silly way? He went out to the balcony to smoke a cigarette and then fell down from the third floor.


There might be many reasons, of course, one could be that he had been too close to death all his life and, most probable, his death wish was very strong, unconsciously speaking. But from the point of view of the symbols I want to mention the most important to me: he was expressing and embodying, only too well, the most important and deep transit of our times: Pluto in Capricorn: life and death, power and transformation.


Jung named a very interesting archetypal phenomenon: the Mana-personality; it happens when someone becomes too much identified with an archetype, such as the mother, the father, the healer, warrior, and so on; he or she then is recognized by the community as representing an archetype. But over identification of an archetype can be dangerous for the person; the power of the archetype comes from the collective unconscious, an extremely powerful current of power meant to transform our lives and help the evolution of mankind. Nonetheless, it is too much for a single human being, who, first, becomes empowered by the charisma of the archetype, Pluto in Capricorn, for example, but then, the individual tends to melt, loses himself into it, and then the archetype destroys him.


With Sun Mercury in Leo, Zombie Boy was a sort of child, a puer, an eternal child, who managed to express his Golden Child despite the hardships of his childhood (natal Pluto in Scorpio, Moon Pluto), a terrible illness, and we do not know how many other though experiences. I will keep forever two of his phrases he uttered in an interview:


‘Creativity makes you a human being’.
‘Creativity keeps you alive’.

He said this from the bottom of his heart.


Zombie Boy died during the transit of Uranus conjunct his Moon in Taurus and opposing his Natal Pluto in Scorpio; I imagine that the demand of this transit might have been overwhelming for him, he had to transform himself again, reinvent himself again, but, How could he erase his tattooed skin? How could he be reborn again with a new skin, reset his genetic code? I think that Jupiter in Scorpio, by transit, squaring his Sun in Leo, was a dark angel who rescued him and liberated him.


Xavier Betancourt August 6, 2018

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