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ザビエ・ベトコートができるまで

最終更新: 2018年3月1日

自分で自らのことについて手短に書こうとした時、長い歳月を経た結果、自分が何者であるかということを他者に話すことが、わたしにとっていかに困難を極めるかということに、ふと気づいた瞬間がありました。これが若い頃であれば、自分自身について語ることなどいくらでもあって、1冊の本にまとめることすら難しいと思ったりしたのですが、年齢を重ねるにつれ、若い頃に自分に対して考えていたことのほとんどが「そうあって欲しいと思うこと」だった、ということが見えてきてしまったのです。「成熟する」ということは、山のようなこなすことや冒険をしていくことを指すのではなく、そういった数々の経験を通じて、それぞれ(の経験)における意味を理解したり、掴んでいくことで、そうして初めて「自分が何者か」ということをわたしたちは語ることができるのでしょう。


一方で、長い歳月をかけてわたしが行っていることとは、人々が自分自身のことを理解する、ということであり、そうすることで、本来の彼ら自身になっていくこと、そしてそのように自身を表現していくことを応援するためです。そうすることがわたしにとって、人生の目的であり、わたしが幸せに感じることなのです。


わたしは、人種と文化の異なる背景を持ち、メキシコシティという地に生まれました。フランス人の血を持つことからフランス文学を学ぶに到ったわけですが、それはわたしにとって、一般的な論理的思考に触れる機会となりました。また、スペイン人の血からは、神秘的な事柄を好む傾向と詩を愛することを受け継いだのであろうと考えています。メキシコという地での体験は、マジックとミステリーというものへの見方をわたしに与えてくれたのです。わたしの世話をしてくれたメキシコ人の乳母たちが伝えてくれたおとぎ話や、実際に彼女たちが見せてくれたその土地に伝わる伝統的儀式は、わたしが最も尊敬し憧れるフランス・ソルボンヌ大学で出会った教授の存在と同様に、わたしの人生へのビジョンにおいて重要な要素となっているのです。


ユング心理学の学びは、その理論と実践そのものが、わたしにとって理論と直感を結びつけることへと繋がっていきました。ユングの理論は、カウンセリングという場での人々とのコミュニケーションに役立ちました。今となっては、ユング理論をわたしが用いるのは一部の判断や根拠としてでしかなく、ユング理論そのものを推奨することが目的ではありません。そしてある日、わたしは夢を見ます。それも占星学に関係している夢を、です。それは、28歳(1984年6月)の時の出来事でしたが、それまでこの伝統的科学とも言える占星学に興味を抱いたことすらなかったのです。そのわたしが見た夢というのは、わたしを(占星学を学ぶ)弟子になることへと導き、わたしの人生と言う名の現実は、やがて間も無く、その時わたしが必要としていた(占星学の)師の元へと導いたのでした。




わたしは、占星学に触れることで、シンボルを通して自分を表現する上で最も適した言語を、また、心理学・アート・論理を統合する術(すべ)を見出しました。学び始めの数ヶ月間、友人たちに頼み込んで、彼らのチャートを読ませてもらっていたものでした。すると、ある日からわたしのカウンセリングに人が人を呼ぶことが起こり、それ以降、カウンセリングを提供し続けています。それは、わたしにとって、独自の方法を見出したということだと考えています。それから2年後、メキシコシティの自宅を拠点に、占星学とシンボルを学ぶグループを設立し、現在も帰国した際には、2つのグループの皆さんに占星学の学びを伝えているのですが、彼らがこのクラスに長年参加し続けてくれていることにただただ驚いているのです。生徒さんたちは、わたしが日本と香港に行く回数が多すぎることで彼らを放置している、と不満をよく口にしています。


母は、わたしが5歳の頃から、ギリシャ神話を聴かせ始めてくれました。そして6歳になる頃にはすでに、友人、年下の弟や妹たちと共にギリシャ神や英雄たちを題材にしたゲームを考え、遊んでいたのでした。そして今、こうして書きながら、当時わたしと共に遊んでいた小さな子供達にとっては、一風変わったテーマの遊びだったであろう、と思うのです。1993年に、さらにギリシャ文化に深く触れていくことを決意し、わたしが当時興味を抱いていたプラトン主義および新プラトン主義を研究をしていたメキシコ大学の教授と出会って以降、彼の元で古代ギリシャとその関連文献を原語で学んでいます。古代ギリシャとその文化について理解を深めることは、わたしの占星学に対するビジョンの基礎となっているのです。


わたしは、映画が好きなのですが、中でも特に日本とアジアの作品が、とても好きです。映画というのは、個を超えた(トランスパーソナル)シンボルと人類の原型(アーキタイプ)が表現されている最も興味深い文化の一つと言えます。映画に関しては、メキシコの週刊誌「PROCESO」に映画評論家として20年間寄稿しています。この映画評論という仕事を通じて、映画に関するわたし自身の考えや、占星学とシンボルの世界の外で、異なる様々なテーマについて表現する機会を得ています。


そして最も重要なこととして、わたしは2000年から日本でカウンセリングを行なっていますが、それは、日本という国を、そして、文化、アート、食、そしてもちろん日本の人々をわたしが心の底から敬愛して止まないからこそ続けられていることなのです。日本人の魂とそのエッセンスに触れるということが、どれだけわたしの人生経験を豊かさに満ちたものにしてくれていることか、そして、日本の友人たちやクライアントの皆さんに、わたしの経験を分かち合うことが、わたしの魂の奥底にあるわたし自身の質の一部を開かせてくれているのです。もしわたしが日本という国を訪れることがなかったとしたら、わたしは、今のわたしにはなり得なかったのです。


2018年2月

ザビエ・ベトコート


翻訳:持田直子 (株式会社Power in U)



BECOMING XAVIER BETANCOURT      


As I was about to write a short entrance to present myself, I realized that, after so many years, it has turned out incredible difficult to talk about who I am. When we are young we think that we have so many things to say about who we are, and that a whole book would not be enough to convey that; but, as we grow older, we understand that all those things were mostly wishful thinking. Maturation is not about a mountain of activities and adventures, but about grasping and understanding the meaning of those endeavors, then we can start talking about who we are.


On the other hand, I have spent so many years trying to help people to understand who they are; and this, in order to encourage them to become and express who they really are. This is my purpose in life, and this makes me happy.


I was born in Mexico City from a mix of races and cultures. The way I understand it now is that my French background, my studies of French literature provided me with a formal and logical system of thinking. From my Spanish line I inherited a mystical tendency and a love of poetry; the Mexican experience provided me with a vision of magic and mystery. My Mexican nannies, their tales and practice of rituals, have been as important to my vision of life as my most admired professors at the French Sorbonne.


The study of Jung’s psychology provided me with a theory and a practice that connects logic and intuition. Jung’s theory helped to develop a way to communicate with people in counseling. Now I only use the Jungian approach as a point of reference, never as an aim of itself.Then, one day, I had a dream, and that dream was associated to astrology; I was 28 years old (Jun/1984) and had never been attracted in this traditional science. The dream converted me in a disciple, and life provided me immediately with the masters I needed at that moment.


In Astrology I found the perfect language to express myself through symbols, to synthesize psychology, art and serious logic. During the first months of my learning I used to bed my friend to allow me to read their charts. Then one day someone recommended me with someone and since then I have not stopped counseling. I developed my own system. Two year later, I open a group of study of astrology and symbols in my own house in Mexico City; I keep teaching two groups whenever I am back home, and I am always surprised that they keep coming all these years. My students are always complaining that I abandon them too much traveling to Japan and Hong Kong.


From the age of 5 years old, my mother started telling me about Greek myths; at 6, I was already organizing games with friends my little siblings about the Greek gods and heroes; as I write this I realize it was a strange theme for a young child. 1993, I decided to go really deep into Greek culture, I found a professor from the Mexican University who was interested in the same theme I was: Plato and Neoplatonism; I have been learning Ancient Greek and reading those philosophers with him in the original language since then. The understanding of Ancient Greek and culture have been fundamental to develop my vision of Astrology.


I like cinema enormously, especially Japanese and Asian cinema in general; cinema is one of the most interesting cultural and transpersonal filed to express the symbols and archetypes. I have been writing as a film critic for 20 years in a Mexican weekly magazine, PROCESO. This allows me to express my own opinions of movies, and it makes me talk about different themes outside astrology and symbols.


And most important, I have been traveling to Japan since the year 2000 for counseling; from the bottom of my heart I admire and love Japan, its culture, art, food, and, of course, its people. Being in contact with the Japanese soul, with its essence, has been the most rich and wonderful experience of my life; sharing my experience with Japanese friends and clients has helped me to open a very deep dimension of my soul. I would not be the same if had never come Japan.


Xavier Betancourt

February 2018


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